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天網恢恢疎にして漏らさず

このニュースをオーストラリア移住へ夢を託しながらも非情にも裏切られた人々が、どの様な想いで読まれているのでしょうか?
この事件の発端はメルボルンから始まりました・・・。今から8年も昔の事になります。

■■「私は国際弁護士」 英語が得意な元英会話講師を詐欺で逮捕■■

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080118/crm0801182355039-n1.htm

逮捕された人物はメルボルンでも有名な詐欺師でした。警察が同様の手口でだまされている可能性もあるとみて余罪を調べていることでしょうが、間違いなくオーストラリアで起こした詐欺事件についても追求が及ぶ事と思います。

彼は、かつてメルボルンにある某法律事務所の「日本人通訳」として働いていました。しかし、彼の部屋はまるで弁護士そのものが利用するような立派な個室で、彼自身が「通訳」と言わなければ誰もが「法律事務所に勤めている日本人弁護士」と勘違いしてもおかしくありません。いつから彼が「弁護士」として活動するようになったのかはわかりませんが、当時でも日本人弁護士がオーストラリア国内では少なかったので、彼を頼りに数多くの人々が相談に訪れた事かと思います。現地で発行されている日本語新聞にも彼が「日本人弁護士」として紹介される事もあり、彼を講師に招いた講演会も主催されたりしていました。

彼には昼は「日本人弁護士」と呼ばれて活躍する一方で、夜は「日本人向けのクラブ(飲食店)」を経営する青年実業家の一面も持っていました。昼も夜も「成功者」として羽振り良く活躍する彼の元に多くの人が集まり、彼の店には日系企業の駐在員や日本人の名士等が集まる社交場として大いに繁盛していました。私も友人に連れられて「日本人向けのクラブ」へ足を運んだことはありましたが、そこで働いている女性達には「将来オーストラリアに移住したい」と言う希望を持っている子も少なくなく、彼の元で働くことで移住に有利になると期待していたんだと思います。中には私がお世話をさせて頂いた学生の顔もチラホラと見えました。
横に座ってお酌をしてくれる女性が「永住権が取りたいからここで働いている」と言うので、「え?それで永住権が取れるの?」と問い返しましたが、「バックに弁護士がついているもの。イミグレにコネもあるそうだしね。」って意味深に言われれば、「そう言うものなのか??」と。お酒の上で話なのでそれ以上は聞くことも無く他の話題に移りました。

私が知っている人にも彼に移住手配を依頼して騙された方がいます。もっともらしい話を作り上げて、彼女にメルボルンで事業を興すように薦められました。彼女は、私の職場の隣に部屋を借りて事業を興したので、時々彼が訪問するのを見かけて廊下で互いに挨拶を交わす位にはなっていました。いつも慌しくやって来ては、途中で何度も廊下に出て携帯電話でヒソヒソと話しをしている様子。如何にも忙しそうで、やり手弁護士たる風体を漂わせていました。
彼は彼女の移住に向けた資金を「私が管理している方が移住申請の際に有利だから」云々と言葉巧みに彼女の資金を彼の個人口座に振り込ませていたそうです。今思えば、そうやって如何にも説得力のありそうな話で多くの人から大金を募り私腹を肥やしていたのではないか?と想像できます。
また別の日に街で彼を見かけたのですが、書類が沢山入った茶封筒とオーストラリアの弁護士が法廷に立つ時に被る「かつら」を手に持っていました。私が声を掛けると、「今から法廷」と言って急ぐように信号を渡って去っていきました。これも非常に用意周到な演技だったのだと思います。その格好でメルボルンの街を歩き回り、多くの人に「弁護士」と思わせていたのだと思います。私もまんまと引っ掛かっていました。

ある日、「ホープコネクション」と言う よろず相談所 みたいな団体に在籍している相談員の方から電話を貰いました。「彼は弁護士資格を持っていない事をご存知ですか?」と。最初は冗談かと思いました。彼の名前が世に知られるようになって、彼を批判する人の声も耳にするようになりました。「仕事が遅い」「なかなか連絡が取れない」等と言った批判については、「忙しい人」だから致し方ないのでは?と思っていたからです。なにせメルボルンでは唯一の日本人弁護士。彼を頼りに多くの人が相談してくる事も知っていましたし、その多忙さを嫌と言うほど見せつけられていましたから。「ホープコネクション」への彼に関わる相談もその辺りのクレームでは?と思っていたのですが、話を聞いていくうちにとんでもない事実を知ることになりました。実は、オーストラリアの弁護士会の名簿を調べたところ彼の名前が記載されていなかったというのです。どの団体の弁護士名簿を調べても彼の名前は無く、彼の経歴である「メルボルン大学法学部卒」と言う学歴や校友を辿っても彼の名前は出て来ないというのです。

そして、新たに別の事実も知る事となりました。それは、彼が自ら「弁護士」だと名乗っていた証拠がどこにも見つからなかったという事です。
新聞に紹介されていたのも、彼が自ら名乗ったのではなく新聞社側が勝手に「弁護士」と書いていたのであり、彼の連絡先は「弁護士事務所」。言葉で言ったか言わないか?は不明な点がありますが、彼が「弁護士」と偽った物的証拠がどれだけ探しても見つかりません。彼の虚構は周りの人間が「勝手に」作り上げてしまったもので、彼はそれを巧みに使って多くの人を騙していたのです。

事態は一気に急転しました。これまで自分たちが関わった人の中で彼にビザ手配を依頼していて影響が及んでいないか?など。時間が経つにつれて彼の嘘が暴かれ始め、全ては虚構のものだった事が判明しました。彼にビザ手配を依頼した人には最悪の結果が次々と知らされる事となりました。彼もいつの間にか雲隠れし、彼を雇っていた法律事務所も「通訳として雇っていただけで、彼が請けた仕事に就いては関係ない」となんとも白々しい言い訳を聞かされました。その法律事務所も後日、違法なビザ取得の援助を行っていたという事で業務停止処分を課せられていましたので、やっていた事は左程変りの無い「同じ穴のムジナ」だった訳です。
彼はメルボルンから姿を消して、暫くしてから彼の消息情報が日本に移って聞かされることになりました。東京や大阪で名前を変えて「国際弁護士」を名乗って同様の手口で詐欺行為を行っていると言う情報が、元被害者の方々から聞かされました。そして私達もその消息情報を歯痒い思いで聞いていました。「彼のお陰でどれだけの人が、夢と希望を打ち砕かれたか!」
そしてとうとう彼はお縄についた訳です。8年もの月日を彼は虚構の中で生きて続け、そしてやっと現実の世界での制裁を下される日が来たのです。
二度とこんな事が起こらないことを祈っています。
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Author:KALEIDO留学サービス
大西 輝彦(KALEIDO留学サービス代表)
(1972年8月31日 大阪生まれ A型)
◆NPO留学協会 関西事務局 副代表
◆オーストラリア政府教育情報センター・EATC認定留学カウンセラー
◆RCA海外留学アドバイザー

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