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ワーホリ一日目の憂鬱

あの頃は若かった…」と遠い目をしながらボツボツと語り始める回想録って感じですが、私のワーホリ第一日目の体験は今でもよく覚えています。
「トラベル英会話」を読んで、これからの英語生活に備えていたけど、オーストラリアに到着した直後から「???」な事ばかり。全然喋れないし聞き取れなくていきなり凹んでしまいました。凹みを通り越して軽い鬱になってしまった程です。
私を迎えに来てくれる友人との待ち合わせ場所までの行先を尋ねても「何度も何度も繰り返して」説明してくれるオージーに感謝を通り越して申し訳ない気持ちで一杯になり「英語社会へ飛び込んだら、英語力なんて自然に身につくさぁ?」と言う甘い気持ちが一瞬にして吹っ飛びました。
日本出発前にオーストラリアの友人に電話で待ち合わせ場所への行き方を聞いていたが、「空港からスカイバスに乗ってフリンダース通り駅で降りて、そこから「グレンウェーバリー線の電車に乗ったらマウントウエェーバリー駅へ着くよ。」って『日本語』で説明してくれた事だけを頼りにしていたのだけど、英語で聞いておけば良かった…。

まず、スカイバスの乗り方がわからない。チケットはどう買うの?券売のおばさんに聞いたら返す言葉で「シングルかリターンか?」って聞かれて、「シングル=独身?」&「リターン=???」って発想になってパニックに陥る。その後スカイバスに乗り込んだら、いきなり運転手から質問されて二度目のパニックに。今思えば「どこの停留所(駅やホテル)で降りるんだ?」って聞かれたと思うけどそれさえ理解できず、おまけに「フリンダース」とも言えずに「ステーション」の言葉を連呼。
徐々に不安が強くなりながらも、バスが駅に到着したので足早に下車して長旅で疲れた身体と重いスーツケースと一杯に膨れあがった手さげカバンを手に駅構内へ。駅構内は思ったより閑散としている事に気がつく。「ガイドブックにはフリンダースストリート駅はメルボルンの玄関口」って書いてあったのに、「どうして人が少ないの??」「今日は日曜日だから??」って勝手に解釈して駅の券売へ向かって再び英会語との格闘に備える。一応バスでの移動中にさっきの反省を元に「チケットを買う時の英作文」を暗記してけれど、実際にオージーが目の前にいると言葉が出てこない。言う台詞が全然違う言葉になってしまっていたような気がする。ここでもなんとかチケットを買った時に駅員が「フリンダース駅へ行って乗り換えろ」って言っている。「ここはフリンダース駅じゃないのか??」と頭が混乱してきた。周りを見渡せば駅名のプレートが小汚い壁に掲げられていた。そこは「スペンサーストリート駅」で主に貨物など扱う駅で乗降客はほとんど無い所らしい。バスから駅らしい建物が見えたものだから、慌てて降りてしまったのが失敗の始まりだった訳だ。
(今はスペンサーストリート駅は大改築を行なって新しい駅になっているが、当時は閑散とした殺風景な駅でした)

とりあえずフリンダース駅まで向かう事にしたのだが、なかなか電車が来ない。十数分待ってやっと来た電車に乗り込もうとするが、電車の扉が開かない!!意表を突かれて放心状態で突っ立っていると、車内にいた人がわざわざ扉を開けてくれた。「どうやらこの扉は壊れているらしい」と納得させて、扉を開けてくれた人に礼を言いつつ電車に乗り込んだ。フリンダース駅で乗客全員が下車する様子で、自動で開かない扉を手で開いて降りるオージーの後ろから下車してホームに降りる。ホームにはグレンウェーバリー行きの電車が来る事をTVモニターの行先案内板が伝えているのでベンチに腰を掛けて待つ事にする。扉の開かない落書きで汚れた電車を見送り、再び「トラベル英会話」を取り出して英語の復習に集中していると意外にも早く電車が来たので乗り込もうとするが、またまた扉が開かない!荷物を置いて、恐る恐る手で扉をスライドさせてみると扉が開くじゃないか?!荷物を持って乗込もうとしたら、「ピーッピッピッピー」と警報音が鳴って扉が閉まろうとするので飛び乗ってひと段落。「やばいやばい、でもこれで後は待ち合わせの駅につくまでか・・・」と安堵の息を吐きながら再々度「トラベル英会話」に目を落とす事に。そして軽く眠ってしまった。

どれくらい時間が経っただろうか?ふと車窓からの光景を見ると住宅地が広がる光景が続いている。止まった駅名の名前を見てみると、自分が乗っている筈のグレンウェーバリー線上に無い駅名だった事に気づく。…と言う事は俺は電車に間違って乗ってしまったのか?車内で次の停車駅案内が無いから、今どこにいるのかさえもわからない。日本だと当たり前の停車駅案内がオーストラリアではない。焦りながらも車内に掲示してある路線図みつけて先程に見た駅名を路線図の中から探し出す。すると違う路線に乗っていたみたいなので大慌てて次の駅で降りて引き返す事に決める。次の駅に到着したので逆方向のプラットホームに移動しようと周りを見渡してガックリ。隣のホームに移動する為には線路をまたぐ様に架かっている橋を渡らなければならず、スーツケースと両手に荷物を抱えている俺には重ねての精神的&肉体的ダメージ。
もう、「待ち合わせの時間をとっくに過ぎているから心配しているだろうな?」って思い、友達に連絡しなければと公衆電話を探していると頑丈そうに鉄柵で囲まれた自動販売機の横に公衆電話があったので電話をする事にした。電話には友人の母親が出たのだが、友人が出ると思い込んでいたので何を喋ったら良いか頭の中が真っ白になった。とりあえず、拙い英語で「遅れる」事だけは伝わったと思う。

電車が到着したのでフリンダース駅まで戻り、今度こそ「グレンウェーバリー行き」の電車に乗込もうとホームにある行き先案内TVと睨めっこ。TVモニターには、グレンウェーバリー線と違う行先の線とが交互に表示されている。今思えば、間違えて乗った路線はリリーデール(Lilydale)行きかバェルグレーブ(Belgrave)行きのどっちかだったかよく覚えていないが、何故TVモニターの表示と行先が違っていたのか?と言う理由までは理解できない。でも、その後の経験として「オーストラリアじゃ、よくあることの一つ」と納得する事になった。

やっとのやっとで目的のマウントウェーバリー駅に到着。その頃には完全に疲れ切っており、改めて友人宅に電話をして到着した事を伝えると駅のベンチにへたり込んでしまった。30分程してから友達が迎えに来てくれた。これまでの経緯を説明しようと思ったが、なんだか格好悪かったので「電車を間違えた」としか話せなかった。友人宅までバスに乗って向う道中も無言になってしまう。日本語が通じる相手なのに話す気力も失ってしまった。

家に到着して、私を家族で迎えてくれたのだが余りきちんと挨拶ができなかったと思う。いろいろ話しをしたかったが、その気持ちよりも疲労の方が断然勝っていた。部屋に通されてベットに横になったら夜まで眠ってしまった。それ位に疲れきってしまっていたんだと思う。夜中に目が覚めて、そこが日本から遠く離れた違う国の部屋だったと気が付いて悲しくなってしまった。二十歳を超えた男が部屋で一人涙してしまった。

それがこの私のオーストラリア第一日目の経験。今から11年も昔のお話。
現地生活に慣れてきたら「あたり前」な事で、こんな事で右往左往しちゃって…って思うような事。でも、初めての時の経験って「箸が転んでも一大事」な訳なんだよね。
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Author:KALEIDO留学サービス
大西 輝彦(KALEIDO留学サービス代表)
(1972年8月31日 大阪生まれ A型)
◆NPO留学協会 関西事務局 副代表
◆オーストラリア政府教育情報センター・EATC認定留学カウンセラー
◆RCA海外留学アドバイザー

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